『暴利を貪る』

この瑕疵問題では、事業主側のOBが起こした会社(設計事務所、工事会社等)やOBを受け入れた会社が多く関与していた。

それら会社の中でも設計事務所については事業主と同じ制服を着て、工事監理の主力となっていた。

今回、彼らは管理組合とは対立する側に居たが、居住者の苦しみに直面してきたことで、かなり同情的な見方をしていたため、その多くの担当者がこちらに好意的な対応をしてきた。

彼らこそ、この事業主の建てた建物をしっかりした品質に仕立て上げた主役であった。

ただ、この物件ではこれまで積み上げたノウハウである詳細設計のルールを守っていない。

意匠設計を担当した設計事務所であれば納まり上の様々な制約をデザインとの調整で何とかできたかもしれないが、デザインを大きく変更する権限を持たない監理者が担当するにはかなりハードルが高い。

バブル末期、民間が札束で職人を引っ張り合っている時、この現場ではそれができず、入札も不調になったという。

あまりに過酷な環境であったと思う。

しかし、私はここでの経験から、多くの事業主側設計事務所の監理者の熱意と優秀さを目の当たりにした。

一方、同じ立場でも施工会社になるとやはり利益最優先となる。

当時の事業主側の本社役員が、『この現場に投下したコストが有効に回らない』というようなことをこぼす。

ある時、事業主側施工会社が担当する作業が滞り、工事の進捗が進まない状態に気が付く。

その会社の現場事務所に行き、出勤する作業員数を確認した。

その会社は3つの団地を担当していたため、3つの団地の作業員数を確認すると数字が合わない。

3つの団地に出ている作業員数の合計は、出勤する作業員数を大幅に上回っていた。

架空人工

幽霊作業員が大量に居て、事業主の投下するコストの一部は現場の進捗に反映していなかったのである。

 

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