鉄骨階段の劣化・一考
鉄骨階段の劣化・一考
東京・八王子市のアパートで階段の一部が崩れ落ちて、居住者が転落した事故では、築8年という築浅物件であったことから維持保全だけでなく、新築時の設計または施工にも問題が合ったのではないかと危惧されます。
昨年10月にも北海道苫小牧市でアパートの2階通路の床が抜け、5人が重軽傷を負う事故がありました。
分譲マンションに比較すると、賃貸アパートなどではオーナーが住んでいないことも多く利回りにのみ目が行きがちで、借り主も自分の資産ではないことから、両者とも維持保全に対する関心が低いことが多いようです。
鉄骨階段は、その名の通り『鉄』で出来ています。
鉄は水と空気(酸素)の存在により発錆(酸化)します。
この錆が鉄を侵食し、強度を低下させるわけです。
この鉄骨階段、これは手直しと言うには痛みが酷すぎて、階段ごと入れ替えたほうが良いと思うことがあります。
ところが、この鉄骨階段を入れ替えるのはなかなか大変です。
鉄骨階段を含む外部階段は、建築基準法に定められた『避難経路』の重要な一部になっていることが殆どであるため、この機能を『工事期間中』も維持する必要があります。
そのため、鉄骨階段の痛みが酷いからと言って、簡単には入れ替えることが出来ないため、『騙し騙し』使っている例が多くあります。
分譲マンションでも鉄骨階段が事故を起こす一歩手前という例も見受けられます。
写真の例では、ササラと踏み板との取り合い部分が腐食したためL字断面のアングルで補強した状況です。
その後も取り合い上部から雨水が侵入し、メンテナンスできない隙間となった溶接部分上部から腐食が進み、錆汁が流出しているのが確認できます。
更に被害が広がった状況となっているわけです。
もうこうなると、虫歯が残ったままの歯に詰め物をして、食べかすが入る隙間だけがあるような状況ですので、より深刻な状態へと加速的に進んでいきます。
(更新中)
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一級建築士事務所 マンション管理士事務所
株式会社 佐藤マンションサポート
代表取締役 佐藤 稔 / SATOH MINORU
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